岡です。先(せん)について。
合気道だけでなく、他の武術や一般社会でも「先手必勝」、「先を取る」など、先(せん)と言う言葉はよく使われます。
武術では「後の先」なんかがよく聞く言葉じゃないでしょうか。
来月昇段審査がありますが、自由技なんかは先の感覚をしっかり持ってやると動きが途切れないように思います。
今回は「先」について、二代目道主 植芝 吉祥丸 (著) 合気道真諦 (1986)p110~111を参考に一部抜粋して書きます。
古来、先については、「先々の先」「先」「後の先」の三段に分けて説かれている。
「先々の先」とは、相手の心の動きを機微の間に察し、その行動を制する事を言う。
「先」とは、自分から相手に先んじて行動を起こすことを言う。
「後の先」とは、相手の動作に応じて行動を起こし、相手の体の乱れに乗じて反撃する事を言う。
いずれも常に勝っている境地から発するその場その場に適応した自然の動きであって、結局は自分の行くところ全て絶対の先といい事に帰着する。
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「先」などと言う言葉を口にする間はまだ合気道の門まで達していないと言わねばならない。
合気道には「先」も「先々の先」もない。
自分の動くところに、相手が喜び勇んでついてくるようになるわけである。
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一言注意すべきは、合気道の技法の修練は、ややもすると一見「後の先」ばかりであるような感じを与えがちであるが、それは皮相の感にすぎない。
底知れない深淵には仇波(あだなみ)がたたないもので、その真実のところは正しい修練を積むに従ってみずから会得することができるのである。
※「仇波」は、むやみに立ち騒ぐ波の意
うんうん。なるほどっ!てほど簡単に理解できるものでもないですが、正しく稽古を積んでいくと自然とわかってくるものなのでしょう。