合気技、“より高み”を求めて共に歩もう!

(“凡夫の思い”)

2020年8月22日掲載

 

 世の多くの人々は自らが取り組んでいることに対し通常、「より上達したい!」とか、そのことを「マスターしたい!」などと思い、目標に向かって励むのではないでしょうか!?

長束道場の皆様方も目標を定め、また求めるものを目指し稽古されている、と思います。

私も合気道の『柔(小)よく剛(大)を制す』や『自らを活かすことが出来る合気道』などに魅せられ、長年、目標に向かって合気道の稽古に精を出してきました。

 世の中にはいろんな分野があり、それぞれ優れた方々が数多くおられるし、中には名人・達人、現在の名工などと称される方々もおられます。

勿論、この合気道の世界においても開祖はじめ故山口清吾本部道場師範ほか数多くの名人・達人と称される方々がおられたし、おられます。 

中でも山口師範の技は30数年前でしたが、体験しているだけに当時は信じ難い技、「何?、これっ…!」、抵抗感なく師範の足下へ制せられている、そんな感じの技でした。

 『百聞は一見に如かず!百見は一触に如かず!!』、山口師範の技は何触しても、手懸かりすら思いつかない様な…非常に高度な技、今思うに凜リンとした姿勢で、彼我の中心を通すよう手を『スーッ』と振りかぶり、『ストーン』と振り下ろすような体捌きであった…?!

「そうありたい!」と願えども、地方にあっては手本とすべき存在との出会いは皆無に近いし、名人・達人の方々は稽古量も、打ち込みの度合いも、才能も、我々のようなアマチュアとは桁違いであろうし…、で残念ながら凡人には、です。 ただ、求め続けたいものですが…!!

 「まさか!?」、入門当初、この私が指導者になるなんて、全く想像すらしていませんでした。

続けるうちに徐々に古株となり…で、トコロテン式に指導する立場となった…、と言うべきか!?

「凡夫ゆえ、自分で良いのか?」、いろんな思いや葛藤が生じました。

そうした中、灯りを届けて下さったのが、長年、お目をかけて頂いた故藤田昌武本部道場師範でした。 師範の指導方針は、『誰にでも出来るオーソドックスな技』の追求でした。 

「これなら自分にも何とかできる!」、と思いました。

 私は若い頃から長年、産業機械メーカーの技術畑で過ごしていました。 

 従って、ものの見方・考え方はその分野でのもの、即ち、合気道に対しても技を分析し、ポイントを理屈で捉える、というやり方で稽古に励んでいました。 しかし、稽古を積むうち、部分を積み上げても必ずしも全体にはならない…、即ち、俯瞰フカン的な物の見方・考え方も必要である、と気づきました。 また、私は体格的には恵まれておらず、身体能力などは平凡であり…、それだけに一般の方々よりも進む道の壁は数多く、高かったように思っています。  

ただ、本質的に私は負けず嫌い、それらを乗り越えるために、問題意識を持ち、そして一応私は剣道の経験者で有段者でありその優位性を意識し、“より高み”を目指して合気道に取り組んで来ました。  それ故、独自目線での捉え方の側面は多いでしょう、が…!

 今ではIT(Information Technology、情報関連技術)と称され、Apple社やGoogle社の方が有名ですが、かつて(?)のコンピュータの巨大企業IBM社(米国)の社内の壁面には、『Think(考えよ!)、Think(考えよ!)、Think(考えよ!)』と掲げてあった、と聞いています。

ただ、私は先ず、『好奇心を含む、問題意識ありき!』と思っています!!

問題意識を持つことで、いろんな事象や分野からの知識・情報がヒントになりうるし、その意識で稽古をする際、【受け】と【取り】の双方において彼我の技の効き具合を感じ取り、見取り、工夫し…、で“より高み”を追求するのです。

 皆様方に対して以前から申し続けていること、単に指導を受けるだけの受け身的な姿勢ではなく、皆様方の稽古では、各々が主人公、である、と!

共に高みを目指して参りましょう! 【 冷暖自知(自らが悟るしかない!) 】の心意気にて!!

 

以上

 

 (文責 : 村田義昭、H29年7月.吉日版、補筆)